芳村理29歳。香野麻実27歳。天城夏夜21歳。
エロゲお決まりの注意書き『本編意に登場する人物は全員18歳以上です』をぶち壊してくれた作品。というかここまで登場人物の実年齢を赤裸々にするエロゲって初めてでは?と思ってしまうほど、この設定は盲点だったかもしれない。
普通のエロゲと違い『18歳以上』の人たちの物語ではない。そんな本作だからこそ持ちえる特有の面白しろさがある。例えば、就職を何度も失敗するリストラ君いじりだったり、定期的に開かれる女性たちだけの宴会(猥談)トークだったり。描かれるのは、学園もののエロゲにありがちな人間関係がベッタリな感じでは無く、年をとってある程度他の世界(学園だけではない)を持っている人たちだからこそできる、適度に距離を取ってのウィットで軽妙なやり取り。馬鹿なことばかりやる三人衆を『ばかだねぇ〜』なんて許せてしまうのもそういった懐の深さがあるのかもしれない。……そしてそういった距離感を取れる大人な関係を「演じよう」とする、NGな女たちのやり取りもまた面白い。というか、むしろ大人な風を装うNGな奴らのやりとりが本作最大の魅力と言ってもいい。
麻実「だ、だけど仕方なかったのよ!
理には、命をかけて愛情を注ぐ対象が必要なのよ。
彼、親に愛されないで育ったから…」
第14話 夫と父と男の決断
理にだけは何処までもカッコイイ大人になろうとした麻美。
「理くんは…あたしのために、屈んでくれたんだよね?
あたしの気持ちまで、下りて来てくれたんだよね…?」
理「トコ…」
美都子「理くんが屈んでくれなければ、
キスもできない女の子、なんだよ?」
第13話 二度目の恋、初めての男。
対して自分の気持ちに戸惑いながらも必死に思いを理に伝えた美都子。
190CMの男に追いつく為にハイヒールを履き必死に家族を作り上げようとした麻美と、日本家庭の象徴ごはんを恐怖していた理をゆっくりと、長屋という古き良き時代の頃の家庭に落とし込んでいった美都子。それでもなおふたりに理に対し思いを阻害させたのは、矜持と年の差。それに縛られ素直になることができない様は、そしてその事で振り回される姿が、本作の見所だと分かっていても正直、切なくなる。
「世界でいちばんNGな恋」というのは、別に年の差に限った話ではなく、ひとりひとりによって変わる何かしらのしがらみに絡め取られ、自分の心を表に出すことが出来ない事であり、だとするならばこれはある意味「世界でいちばん普通な恋」なんじゃないだろうか。でもだからこそ「世界でいちばんNGな恋」。……うん。素敵なタイトルだ。