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らぶデス2
タイトル
  • らぶデス2

    メーカー
  • Tea Time

    評価
  • 8点




  • review

     「仕草萌え」を提唱したTea Timeだからこそ作りえた、現時点では最高峰の3Dエロゲ。髪の毛を掻き揚げる仕草だったり、照れてクネクネしている仕草だったりは、おんだ氏の可愛らしいキャラデザインを余すことなく「可愛らしく」みせるために費やされており、正直なところもー萌え萌え(笑)。

     飛んだり跳ねたり、実際からすると確かにオーバーリアクションであることは否めないのだけれども、そういった単純な記号化された「可愛らしさは」それを振り払うほどの凄まじさがある。普通はテキストや会話のやり取りでキャラクターに萌えてしまうのだけれども、ただキャラが居て、そのリアクションを見るだけで萌えてしまう。というのは3Dゲーム特有の強さというか、その恐ろしさがひしひしと感じられる。

     それゆえにその他の部分、システムだったりシナリオだったりがどうしてもこの凄まじさに追いついていないのが目立ってしまう。

     特にシナリオは顕著で、まずシステム面からして酷い。既読スキップが無い。本作はただでさえかなり重いゲームであるのにかかわらず、シナリオの容量もそこそこある。そこからしてもTea Timeはシナリオを見せる気が無いのか、と言いたくなる程。さらに大抵の場所でH可能って、シナリオとの親和性はどうなんでしょうかと言いたくなってしまう。

     プラス、シナリオ自体もこのキャラクターデザインと残念ながら噛み合っていない。このシナリオ、死神サンゴが満という人間に憑依し、死神の任務を果たしつつサンゴが女の子と恋仲になる、というのが筋なのだけれども、これがかなりいただけない。サンゴが主人公視点で進む以上、最後は恋仲になった子との別れがある。その後、殆ど活躍していなかった満がそのまま女の子の恋人にスライドしてしまうため、プレイヤーとしては少々のNTR感がどうしてもつきまとってしまう。

     普通のエロゲではこういうシナリオ展開はなんとか許されるのだけれども、とにかく「仕草」から、パブロフの犬ごとく、言動、キャラクター性全体を好きにさせる作りにしておきながらNTR要素というのはやはりいただけない。しかももう一人の主人公満、妹を(ネタばれ反転)レイプしておきながら、どっちつかずなぐちぐちした性格をしていて、シナリオによっては(というか大半)は妹とのやりとりを無かったことにして、なし崩し的に他のキャラと付き合うことになる。とまあプレイヤーの好感度はお世辞にも良くなさげなタイプ。

     ここまでシナリオについて言っておいてなんなのだけれども、物語の筋。実は悪くは無い。例えば普通の学園ものエロゲは避けて通る、「選ばれなかったヒロイン」とのやりとりが物語終盤まであったりと意外にキャラの人間性と向き合っていたりいる。

     ただあくまでも土台は「仕草萌え」である『らぶデス2』であり、そういった鬱シナリオは要らないと言わざるいえないのが残念なところ。「選ばれなかったヒロイン」とのやりとりなんかは正直このゲームに限ってはいらなく、萌えられるシナリオを適当に乗せ、萌え萌えさせていればよかった。そこら辺、ライターさんとTea Time側との意思疎通ができていなかったためにライターさんが頑張ってしまい、結果的にプレイヤーとの意思乖離。「シナリオ微妙」なんて評価が多くなってしまっているのは残念というかなんというか。

     しかし、それを押してなお「仕草萌え」の凄まじさは筆舌に尽くしがたいものがあり、シナリオ駄目だから、と切って捨てられない魅力を持っている。かなりカオスな出来だけれども、そんなものと、笑って切ってしまう人にとっては至高のエロゲかもしれない。ただ高スペック必須というのが一層、裾野を高くしてしまっているのだけれども。